
「エコバッグ・プレゼント!」・・・猫も酌しもエコバッグ。エコ精神自体は望ましい事ですが、そこにつけ込み過ぎではないかと感じる「エコの押し売り」も目立ちます。
>流行のエコバッグにしてもどんだけ家にあるのだろう。
>もうそこら中エコバッグだらけ。もらうにはもらうがそ
>れを本来の用途で使ったことはなく、貯まっていく一方
>だ。先日のお休みの日、家の片付けをしていたとき、そ
>の膨大にエコバッグをどうしようかと真剣に悩んだ。思
>い切って捨てようかと。しかし本末転倒な気がしてとり
>あえず放置している。
こういう声ってかなり多いと思います。エコを意識して取り組もうという一般人と、エコをデザインと結びつけて何かをしようというデザイナー(および企業)。「こんな事に取り組んでいます」というイメージ戦略が行き過ぎて「偽装再生紙」なんてことも起きています。スーパーのレジ袋を減らすという理由で、大量の無駄なエコバッグを生産してしまうのでは本末転倒です。
僕が以前「デザイナーたちの自己満足」というエントリーで述べたのは、そんな作る側と使う側の温度差です。その後、あのデザインごみ袋がどうなっているのかを知りたくて、一般の人達の声を探る為に検索してみましたが、全く引っかからず、出て来るのはやはりデザイナーたちが自画自賛するような記事ばかり。おまけにこんなのも見つけました:
>こういう話になると決まってへそ曲がりな意見を言う
>人がいる。「そのゴミ袋がゴミになるんだよ」って、
>いますよね。こういう人とは、討論するまでもありま
>せん。論外です。実際に僕らの生活の中でデザインが
>見えない役割を果たしていることは山ほどありますし
>ね。(中略)こんな身近に僕らが出来ることがあるな
>んて。
ネット検索しても、デザインごみ袋について疑問視しているのは僕とKOJIさんぐらいしか居ないので、恐らく僕の事でしょうね(笑)
デザインの仕事って、デザインを納品するだけで終りではありません。ちゃんと目的を達成してこそ、ひとつの仕事が終わったと言えるのです。なので、この企画を聞いた時から「こんなでは成果は期待出来ないのでは?」と思える理由を述べたわけで、実際にその成果が有るのか・無いのかまでちゃんと見届けて、有るなら結構、無いなら何が問題なのかをしっかり考えて次に繋げる事って必要じゃないですか?
例えば商品企画会議で、その商品の問題点をしっかり理由をつけて述べた者に「ヘソ曲がりと討論するまでもありません」とはね除けて、「いいね、いいね」と盛り上がってる人達だけでプロジェクトを進めるでしょうか。前回取り上げた「温度差」は、まさに一般の人達の感覚に対する、デザイナーたちの自己満足的な盛り上がりという「温度差」です。実際、デザイナーたちは「自分達に出来る事」という、自分の手柄を第一に考えているような言葉が目立ちます。
「そのゴミ袋がゴミになるんだよ」という言葉がもし街の人々の声だとしても「ヘソ曲がりと討論するまでもありません」とはね除けるでしょうか?誰もそのゴミ袋に使う理由を見出せなくても?そういうのがデザインする側の身勝手な神経だと思うのですよ。デザインごみ袋が出て、もう随分時間が経ちますが、普及しないのは何故なのか、答えの鍵を握っているのは使う人達です。作る人達ではありません。

デザインごみ袋のメリットとしてデザイナーが挙げている理由:
『ゴミ置き場で「それ、かわいいゴミですね?」なんてコミュニケーションが生まれる場面を想像するとちょっと楽しい。』
↑本当に楽しいでしょうか?
『ゴミを減らそう。と急にママが言い出した。このゴミ袋がもったいないから。』
↑もったいないからこそ、主婦はその袋を買わないと思います。
『お手伝いが嫌いな子にすすんでゴミ出しをさせる魔法のゴミ袋。』
↑1〜2回で飽きてしまうのでは?
『明日からお父さんはゴミ出し当番じゃなくてアーティストです。』
↑そんなに単純なお父さんって居ますか?(笑)
謳い文句自体がデザイナーが頭の中で考えてる空想という感じで、現実味がありません。山積みになったゴミ袋を見て実際に「奇麗だ」と思う人は居るのか。居たとしても、それを見慣れてしまえばただのゴミとしての認識になるのではないでしょうか?そして「街にアートを増やそう」なんていうコンセプトは「ゴミを減らす事」と相反します。この企画を絶賛する人達って、デザインの事しか頭に無いような気がします。
エコバッグに関しても、「オリジナルのエコバッグを販売します」というデザイナーは多いですが、これだけ誰もがエコを理由にエコバッグを販売していれば、世の中に溢れて有り余っているのも当然だと思います。エコバッグが無地だったらどうでしょう?余計な絵など入れずに、本来の目的のエコの形はもっと本来の輪郭を留めていたと思います。デザインに関わる人達や商品を開発する人達が、こぞって「デザインに出来る事」なんて理由をつけて便乗しているだけ。バッグが家庭に有り余ってる現状など、誰も触れようとはしません。
デザインごみ袋を絶賛しているデザイナーたちは、実際に自ら率先してそれを使っているのでしょうか?それが最大の疑問です。まさか自分は使わずに、皆に使うように促しているのでは?!
「デザイナーに出来ること」が必ずしも必要とされる事ではありません。しっかり現状を見る、成果まで見届けるという事をしないのは「身勝手なデザイン」と言えるでしょう。
こちらにも目を通してみてください:
「ベジーテ誕生/デザイン・コンシャスという盲目」
「デザインに出来ること」なんて仰々しく謳うより、人として出来る事から始めてその効果をアピールしてくれるほうが良いのでは?「うちのデザイン事務所ではカー・プール制を導入しました!」とかネ。


