![]() | 女王陛下の007 (デジタルリマスター・バージョン/2枚組) (2007/08/25) ジョージ・レイゼンビー 商品詳細を見る |
「007 On Her Majesty's Secret Service」、子供時代からずっと観たいと思っていた作品なのですが、遂にDVDで購入。リマスター版で映像が抜群に奇麗!しかも特典DVD付きでとっても安かったです。(すでに3回も観てしまいました!)
このイントロ観てください!40年近く前のビジュアルなのに「今年リメイクしたものです」と言ってもおかしくないセンスでしょう?iPodのCMやチャーリーズ・エンジェルズのシルエットはこれに影響されているんじゃないでしょうか?
007シリーズを映画館で最後に観たのはコネリーの「Never Say Never Again」が最後で、決して007ファンでは無い僕ですが、ジョージ・レイゼンビーがボンドを務めたこの作品だけはずっと気になっていたのです。一作のみ出演、その後俳優として大成功したわけでもなく、「女王陛下の007」は失敗作だったのか?という疑問を子供時代から感じていました。幸い、ネット時代になってからは、この作品の事は忘れていて、人々の評判を検索で探ってみる事もしませんでした。なので、この作品を今回初めて観て、純粋な自分なりの評価をすることが出来ました。
まずは特典DVDを観て、背景的な事を学びました。監督は前シリーズの編集を手掛けていた人で、監督は本作が初めてなのですね。ジョージ・レイゼンビーも映画出演はこれが初めてで、それまではチョコレートのCMに出演しただけという経歴。
今でこそ「ジェイムス・ボンドは色々な俳優が演じる」というのが一般的な認識ですが、当時ショーン・コネリーが務めていたボンド役を、別の俳優が継ぐというのはネガティヴな意見ばかりだったと思う。今でいう「インディアナ・ジョーンズ」をハリソン・フォード以外の俳優が案じるというのと同じぐらい違和感&反対意見が多かっただろう。しかもそれを全く無名でキャリアの無い俳優が演じるとしたら?

僕が007を劇場で観始めたのはロジャー・ムーアの時代で、当然ショーン・コネリーが初代ボンドである事は知っていましたから、当時人気があったロジャー・ムーアのボンドは「ちょっと線が細いのでは?」と感じていました。むしろジョージ・レイゼンビーのほうがルックス的にはコネリーのボンドのイメージに近いのでは?と。(実質的には6作を務めたコネリーに対し、ムーアは7作務めていますが。)
ジョージ・レイゼンビーには俳優としてのキャリアが無かった。しかし俳優としての実力やパッションが無かったわけではありません。この事はインタビューや映画本編を観てもすぐに解りました。「ありのままの自分で演じれば、観る側は必ず受け入れてくれる。名優の真似事をすれば反感を与えてしまうだけだろう」・・・撮影に入る時に彼が言っていた言葉です。ショーン・コネリーのように演じるようにと強制されたようですが、彼はいつも自分なりのボンドの色を出したかったそうです。しかし「言われたままに演じて大失敗しなかった。しかし自分なりのボンドを演じていたらもっと良かったとは思う」と彼は語っています。コネリーの代役の無名俳優のレッテルを張られながらも、作品にかける誠実さと冷静さを持ち続けた俳優です。
完成後のアメリカへのプロモーション・ツアーは、彼は自費でアメリカに飛んだそうです。その頃彼は髭ヅラ&長髪で、それがボンドのイメージではないと許されなかったためです。「ボンドが架空の人物である事は誰もが解っていたはず。それにボンドだって剃らなければ髭は伸びただろう」。単身でアメリカのTV局の扉を叩き「新作映画の宣伝に来ました」と言ってもなかなか受け入れてもらえず、それでも彼は「事情を説明するのは楽しかった」と語っています。業界からは「貢献しなかったボンド俳優」と批判されましたが、こんなに人間的で正直で自然体なボンド俳優って僕は好きです。作品としても「本気で恋に落ちた唯一のボンド」だそうで、いろんな意味で異色作(と言っても原作には最も近いそうです)。ジョージ・レイゼンビーはモデル出身で洗練された雰囲気と抜群の運動神経を持っていました。アクション・シーンも「自分が演じればカメラもアップで撮れるし迫力とリアルさが出る」と、スタントを極力使わずに演じました。
ロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナン、ダニエル・クレイグの歴代ボンドたちが、それぞれの個性で演じられたのも、ジョージ・レイゼンビーが後のためのレールを引いたからかも知れません。

彼が歳を取ってからのインタビューで当時を振り返って言った「目の前に開けるチャンスと、消えるチャンスを見た」という言葉がとても心に残りました。開けるチャンスは誰もが大切にしますが、消えるチャンスというのはあまり意識しません。
日々を何となく過ごしている間に、チャンスは消え続ける。



